苫小牧市中学生主張発表大会・優秀賞「一つの言葉で」―青翔中2年 小野寺 奈月さん

苫小牧市中学生主張発表大会・優秀賞「一つの言葉で」―青翔中2年 小野寺 奈月さん

 もし、あなたが信頼している人から、自分の悪口を言われていると分かったら、どう思うだろう。私は今でもあの時の辛さを忘れることができない。

 「奈月ってなんかうざくない?」

 1年前のある日、たまたま離れていたところで聞いてしまった友達の一言。彼女とは仲が良いと思っていたから、その一言を聞いたとき、「何で彼女が私の悪口を言っているの?」と自分に起こっていることを理解できなかった。さらに、彼女はSNSでも私だと分かる悪口を書き込んでいることも知ってしまった。

 次第に教室では、彼女や他の友達が私を無視し、避けるようになっていた。中には、私のことを心配そうに見ている人もいたが、助けてくれることはなかった。

 私は「何で自分がいじめにあっているのだろう」と混乱した。彼女や他の友達に「もうやめて」と言うことも、誰かに相談することもできなかった。なぜなら、いじめられている自分がひどく情けなく、恥ずかしいと思っていたから。

 先生や両親は、私の変化に気づき、「何かあったの?」

と聞いてきてくれたが、「大丈夫!」と無理に笑顔をつくっていた。

 数日経っても、いじめはなくなることは無かった。それどころか変なあだ名をつけられたり、SNSで「いなくなればいいのに」「死んじゃえ」と書き込まれていることもあった。

 私は教室で、人としゃべらず1人で過ごすことが多くなった。私はだんだんそんな毎日に疲れていき、本当に死んでしまおうかと思うほど人が信用できなくなっていた。

 そんな時、家で「私のことは何でも分かるよ」と言った母がぽつりぽつりと話し始めた。

 「私も昔いじめられることがあってね…」。

 母が話したいじめの体験は、今の私にぴったり重なったように思えた。いじめられていたこと、誰にも相談できなかったこと、でも、勇気を出して相談すると少しだけ気持ちが楽になったこと。そして最後に、「よかったら話して?相談することは恥ずかしいことじゃないよ」と。

 その瞬間、私の中で何かがあふれた。今までの出来事、辛かったことを泣きながら全部話した。母は「辛かったね」「1人で抱え込まなくていいんだよ」と言って私を強く抱きしめてくれた。とっても気持ちが楽になった。

 「もうやめて」

 次の日、母の昨日の言葉を胸に、私は勇気を出して彼女や周りの友達に伝えた。

 「無視されてすごく辛かった」。泣きながら言うと、真っ先に彼女が、「…ごめん。そんなに辛い思いをしてるなんて気づかなくて、ごめん…本当にごめんなさい」と謝ってくれた。続くように周りの友達も、「だめだって分かってるのに、止められなくてごめん」と。

 それを聞いて私は、うれしくなった。「相手にきちんと自分の気持ちが伝わるんだ」と気づくこともできた。

 その後、私達は元の仲良しに戻ることができた。クラスは変わってしまったけど、2年生になった今でも彼女と私は友達だ。

 彼女の「うざい」の一言で私は傷ついた。そんな私は、母の「話して」の一言で救われた。そして、私の心を本当に救ってくれたのは、彼女や友達の「ごめん」の一言だった。たった一言の言葉が、私のようにその人の気持ちを動かし、人生さえも変えてしまうかもしれない。

 だから、私は思ったことをすぐ口にしたり、誰かに言うのではなく、どうすれば自分の思いが伝わるのだろうとよく考えて、直接本人に言うようにしている。私の何気なく言った一言が、誰かの心を傷つけてしまうかもしれないからだ。

 みなさんも、自分の言葉が相手にどう受け取られるかを考えて、言ってほしい。その一言は本当に相手のために言っていますか。

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