苫小牧市内のパン店が多様化している。昨年、市内に高級食パン専門店が出店し、連日にぎわいを見せている一方、地場の老舗や社会福祉法人が運営する店舗は地域密着を掲げ、多くの市民に親しまれる。民間調査会社は、販売数量の増加や単価の値上がりを背景に、将来的にパン市場の拡大を予測する。
全国で高級食パン店を展開する銀座仁志川(東京)は昨年12月、市内拓勇東町に銀座に志かわ苫小牧店をオープンした。厳選した素材を生かした2斤サイズの食パンを1本864円(税込み)で販売する。開店後3週間が経過したが、若者から高齢者まで幅広い年齢層の客が胆振日高から来店し、リピーターも多いという。
1日の平均来客数は約300人。2本買い求めるケースが目立ち、売り上げは多い日で600本を超えるという。同社の担当者は「アレンジで変幻自在の味が楽しめるパンを作っている。ベーカリー業界を超えて食品業界で認めていただけるブランドを目指したい」と意気込む。
1898(明治31)年創業で120年以上の歴史を持つ菓子製造販売の三星(苫小牧市糸井)は、銘菓よいとまけをはじめ、豊富な種類の菓子やパン、ケーキを販売するほか、小学生を対象にした書き初めコンクールや図画コンクールを開催し、毎年表彰式に大勢の市民が参加する。
これまでもパンで競合店の出店はあったが、担当者は「一時的に影響があっても、時間が経過すると落ち着いてくる」と見ている。上質な材料を使用した食パン(450円、税込み)も取り扱うが「高級食パン店が出店しても今のところ大きな影響はない。これからも良い商品を作り続けていく」と説明する。
社会福祉法人ビバランド(新開町)が運営する就労継続支援B型事業所愛らんどベーカリーは、29人の施設利用者が働き、職員と共にパン作りや商品の陳列、接客などの業務に励む。
同店では、平日の午前6時半から同8時半の間(夏休み期間は土曜日も含む)、朝食バイキングを実施。30分税込み200円(未就学児は無料)でパンが食べ放題となり、ホットコーヒーも無料で飲むことができる。朝食バイキングは2018年度で2500人の利用があった。森岡一裕施設長は「施設でイベントが開かれることもあり、ついでにパンを買う人も多い」と話す。
パンの市場は全国的に拡大傾向にある。
矢野経済研究所(東京)によると、13年度に1兆4042億円だったパン市場(メーカー出荷金額ベース)は、高級食パンブームや大手メーカーの商品リニューアルなどを背景に17年度には1兆5582億円と10・9%増加した。22年度には1兆6245億円まで伸びると同研究所は予想しており、「生産年齢人口の減少が予測されるものの、夕食のパン需要や外国人労働者の増加などはプラスの影響を与えるだろう」としている。
















