例年にない記録的な少雪が続き、苫小牧市は今冬、一度も除雪車を出動させていない。市民からは「雪が少なくて生活しやすい」と歓迎する声が上がる一方、除雪作業を請け負う業者は収益を確保できず苦慮している。
室蘭地方気象台によると、今冬の苫小牧は昨年12月7日に初雪6センチを観測し、18年の初雪より27日遅かった。今年に入って8日に7センチ、11日に3センチ降ったが、16日現在で幹線道路に積雪はほとんど見られない。
市が業者を通じて行う市道の除雪は市内を11エリアに分け、積雪10センチ以上で交通に支障を来すと判断したエリアに除雪車が出動する。今年度の業務委託先は64社、除雪車169台。予算は毎年2億5000万円を計上し、足りなくなれば補正予算を組み、余ると各種基金などに繰り入れる。過去5年間(2014年度~18年度)の除雪状況は、大雪による全市エリアへの一斉出動がほぼ年間1~4回で、18年度はゼロ。特定エリアへの出動も年間4~10回で18年度は7回となっている。
今年度は除雪車の出動実績がなく、市道路管理事務所担当者は「市内でも積雪が多い植苗地区を含め、1月中旬になって除雪したことがないのは珍しい」と驚く。市民生活の利便性を考えると雪が降らない方が良いが、「除雪を委託している業者の仕事は減ってしまう」と複雑な表情だ。
少雪に対し、宮前町の女性(59)は「雪がないと車の運転がしやすい。雪かきもしなくて済む」と歓迎。弥生町の植田喜代美さん(81)は「苫小牧に長年住んでいるが、こんなに雪が少ない1月は珍しい。日課としている散歩がしやすく、買い物にも行きやすい」と話した。
一方、業者は危機感を募らせる。除雪以外の工事を引き受けるなどの対応を迫られる業者も出てくる中、市内の土木工事業者17社で構成する苫小牧重機土木協同組合の藤田俊一理事長(藤田組代表)は「除雪は組合や加盟業者の収入に直結する。今年はいまだに出動がないが、例年1~2月に雪が降るので期待したい」と願う。
市は除雪作業がない場合でも、12月~2月は待機料に当たる費用を業者に支払い、「除雪車の車検など整備費用に充ててもらう」(市道路管理事務所担当者)と配慮している。市は今年度からすべての除雪車にGPS(全地球測位システム)を搭載し、作業位置をリアルタイムで把握する管理システムを導入した。除雪車の作業箇所がモニター上で分かるので、効率よく指示できる上、市民からの問い合わせ対応にも役立てるとしており、万全の態勢で備えている。
















