苫小牧市消防本部の2019年の救急出動件数は、前年比2・4%増の8461件だった。出動件数は高齢化社会の進展により、右肩上がりで9年連続過去最多を更新し、11年連続で対前年比プラスとなった。一方、緊急性が低いなどの理由で誰も運ばずに引き返す患者の「不搬送」が1割を超え、中にはタクシー代わりの利用を試みる人も。同本部は救急車の適正利用を呼び掛けている。
同本部のまとめによると、救急出動件数は08年にいったん落ち込んだが09年から増加に転じ、11年以降は過去最多を更新し続けている。
19年の出動の主な内訳は、急病5713件(前年比216件増)、けがなど一般負傷1093件(同75件減)、病院間などで治療が必要な患者を運ぶ転院搬送904件(同55件増)、交通事故382件(同11件減)など。
19年の搬送者数は7667人(同178人増)で、65歳以上の高齢者が4613人(同255人増)と6割を占めた。
田中一夫救急課長は「高齢化社会を反映するように、高齢者の搬送が増えている」と指摘。入院を伴うケースが多く、「我慢して重症化しているよう。普段からかかりつけ医に診てもらうなどし予防を心掛けていれば、救急出動に至らないこともある」と説く。
一方、急病者がいないなどの不搬送が878件(同38件増)に上る。119番通報を受けた救急隊員は、現場に急行して血圧などを測定。症状などを見極めて搬送の可否を判断するが当事者が既に死亡していたり、搬送拒否、応急処理で解決といったケースも。「不安で眠れない」などの通報もメンタル不調で、放っておけないことも考えられ、判断は難しい。
一方で、タクシー代わりに救急車を呼ぶケースも後を絶たず、「急病だ」と通報を受けて駆け付けると、緊急性は低く、「救急車で行けば病院まで早いから」と言われたこともあったという。
市内では消防庁の消防力整備指針にのっとり、救急車6台が24時間運用されている。指針は人口10万人に対して救急車5台、さらに5万人増えるごとに1台配備と定めており、苫小牧もこれに沿っているが東西に長く、広大な行政面積への対応などが課題。田中課長は「本当に必要としている人の所に、いち早く到着できるよう適正な救急車の利用を心掛けてほしい」と訴えている。
















