近世蝦夷地の薬事情は 苫小牧郷文研が市民公開講座

近世蝦夷地の薬事情は 苫小牧郷文研が市民公開講座
江戸時代の薬種をテーマに講演した市美術博物館学芸員の佐藤さん

 苫小牧郷土文化研究会(斎野伊知郎会長)は16日、市美術博物館で第33回市民公開講座「薬種(くすり)からひもとく近世蝦夷地」を開いた。会員や市民67人が参加し、同館学芸員の佐藤麻莉さん(31)の講話に耳を傾けた。

 薬種は動植物や鉱物を原料とした薬の材料。佐藤さんは近世の流行病として天然痘やはしか、インフルエンザ、コレラなどを挙げ、「薬は命を救う大事なものだった」とし、薬に関する近世史と蝦夷地(北海道)との関わりについて振り返った。

 講話によると、徳川家康は駿府城に薬園を設置し、薬を自ら調合するなど積極的に薬種栽培を振興。蝦夷地では松前藩が先住民族であるアイヌの薬種を利用してきた。同藩初代藩主の松前慶広は、オットセイの雄の生殖器を長命に効く海狗腎(かいくじん)として家康に献上している。

 また、寛政9(1797)年には幕臣の近藤重蔵が択捉島を調査し、エンゴサクとみられる薬草を見つけて薬種資源の開発を幕府に打診したという。

 佐藤さんは歴史の逸話や鎖国体制下で薩摩藩による密貿易に利用されたことなどを紹介し、「薬種を探ると幕府の政策や社会情勢の影響、交易を通じた海外とのつながりが見えてくる」などと語った。

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