旧エガオ訴訟解説 土地所有者の財産権を重視

旧エガオ訴訟解説 土地所有者の財産権を重視

 旧エガオビルが立つ土地の一部を所有する大東開発が苫小牧市に賃料を請求した訴訟で、裁判所が同社の主張を全面的に認めたのは土地所有者の財産権を重視した結果と言える。一方、これまで市への無償譲渡に協力してきた他の地権者との整合性がとれなくなる懸念も生まれ、JR苫小牧駅前の再開発をめぐる混迷はさらに深まる可能性がある。

 市は苫小牧駅前の大型ビルの廃虚化を避けるため、公共的な見地からビルに関わる複雑だった土地、建物の権利集約に動いた。訴訟では同社が当時のビルの運営会社の経営破綻直前に土地を取得した経緯などから、「再開発を行う者に土地の補償要求などを狙った権利の乱用」と反論した。

 だが、菓子製造会社三星の社長でもある大東開発会長の三浦実氏が証言した「三星発祥の地で、三星の店舗を再建したい」とする土地取得理由について「社会的に許容されるべき経済活動の範囲内」と判断。同社には土地の寄付に応じる義務はなく、年間約60万円の固定資産税も納付しているため、賃料を請求できない場合には「(同社の)不利益は小さくない」とし、市の主張を退けた。

 市は旧エガオビルをめぐって全権利者の寄付によって権利を集約。ビル解体の条件も付けて民間業者に土地と建物を無償譲渡する方針だったが、今回の判決で戦略の練り直しを迫られそうだ。すでに全29個人・法人の権利者のうち、同社以外の協力を受けた状況で同社に賃料を支払えば、他の権利者との公平性が揺らぐ。

 控訴期限は3月2日。控訴する方針で、新たな裁判費用が掛かり、税金が投じられる見通しだ。「エガオ問題」が長引く中、市民理解をどう得ていくのか。課題は山積している。

(報道部 河村 俊之)

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