延期も前向き時間もらえた メディカルスタッフスキル向上へ-元自転車選手の木賊弘明さん

延期も前向き時間もらえた メディカルスタッフスキル向上へ-元自転車選手の木賊弘明さん
昨年秋のプレ五輪イベント「レディ・ステディ・トウキョウ」参加時の木賊さん(左)=提供

 2020東京五輪にメディカル(医療)スタッフで参加するはずだった作業療法士で元自転車競技選手の木賊弘明(とくさひろあき)さん(40)=白老町役場=が大会延期の決定を受け、「残念な気持ちはあるが、さらに準備する時間がもらえたのも確か」と語った。4月開催の予定だったテストイベントが中止となったが、これから一年を、要員としてのスキル向上に充てていく考えだ。

 木賊さんは先月、五輪・パラリンピック組織委員会から正式なスタッフ採用の通知を受けていた。昨年までに国民体育大会通算10回出場の実力の持ち主で、競技者生活には区切りを付けていた。

 スタッフになろうとしたきっかけは以前、道内在住の競技仲間のスポーツドクターとの出会いだった。東京五輪のレース会場で働く予定になっていると知り、自身も資格を生かして「オリンピックに関わりたい」と決心。昨年10月には、組織委員会主催のテストイベント「レディ・ステディ・トウキョウ」自転車のBMXレーシングにもメディカルの要員として参加してきた。

 医師、看護師らとチームを組み、レースで負傷する選手の応急処置に備えた。女子の部の競技中、転倒事故が発生し、台湾の選手が体を痛めてうずくまっていた現場に駆け付けた。医師が足首捻挫の診断を下し、木賊さんが患部を冷やすアイシングに続けてテーピングを施した。「貴重な経験を積む機会になった」と振り返る。

 来月もBMXの五輪テストイベントに参加予定だったが、今週開けの23日に「延期」の連絡を受け、新型コロナウイルスの世界的感染拡大で五輪開催も危ういと踏まえた。

 ただ、気持ちは前向きだ。国を超えたスポーツの祭典の競技会場は、多言語が飛び交う環境だ。準備期間が約1年延びた分「英語をはじめとした語学力を向上させたい」と意気込む。本番で携わるBMXの競技に関する見識をより深めた上で、「発生しやすいけがの種類も想定しながら応急処置技術も高める」と目標を立てている。

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