樽前保育園48年の歴史に幕、地域との関わり深く「寂しい」

最後の園児と触れ合う寺澤園長(右)と松坂さん(左)

 苫小牧市樽前の認可外保育所、樽前保育園(寺澤春美園長)が3月末に閉園し、48年の歴史に幕を下ろす。子どもを段ボール箱に入れて農作業をすることから解放されたい―という父母らの願いに応え、季節保育所として始まった同園。地域に子どもがいなくなり、4月からの入園児の見込みがないことから、運営主体の樽前町内会が閉園を決めた。寺澤園長は「福祉施設の訪問など、地域との交流を密に行ってきた。閉園は寂しいね」と話す。

 1972年7月1日に、樽前小学校の教員住宅の空室を使用し、開園した。幼児を持つ地域の農家のために設立され、当初の開園期間は農繁期の7月~10月末。75年度から樽前総合福祉館(現樽前交流センター)内に移り、83年から通年保育園となった。現在5人が在籍し、28日の卒園式で3人が卒園する。残る2人は別の保育園への転園が決まっている。

 同園は、立地を生かした自然との触れ合いや、地域との交流を大切にした行事が特徴だった。樽前ガローへの遠足や、地域の農家でのイチゴ狩りやブドウ狩り。樽前小の児童や町内会などと一丸となって参加する「樽前連合運動会」は年に1度の大イベントだった。また、近隣の道央佐藤病院や樽前慈生園など福祉施設とのつながりが深く、季節の行事に合わせて各施設を訪問し、歌や遊戯を披露した。

 運営は町内会に運営委員を設け、運営委員長が園長となり園児の世話に当たった。81年から30年近く運営委員長を務めた鴻野憲征さん(81)は「園児たちは『日曜日が無くなれば毎日来られるのに』と言った。それほど愛される保育園だった」と語る。

 園児は常に15人程度で、職員も3人ほど。地域の子どもが少なくなった10年ほど前からは、錦岡やときわ町などからも受け入れた。通算の卒園児数は201人に上る。市からの補助金もあったが、鴻野さんは地域住民の助けがあったからこそ続けてこられたと振り返る。町内会の会員らで運営費を出し合うこともあったという。

 寺澤園長は「地域に幼児が多ければ続けたかった。住民や施設の高齢者も寂しがると思う」と名残を惜しむ。約6年間、保育士を務めた松坂勇斗さん(29)は「地域の人との触れ合いが無くなり、寂しくなる」とつぶやいた。

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