苫市立病院・松岡伸一院長に聞く 1フロアを感染症病棟に、一部資材が在庫不足、医療体制強化を検討

苫市立病院・松岡伸一院長に聞く 1フロアを感染症病棟に、一部資材が在庫不足、医療体制強化を検討

 東胆振管内で新型コロナウイルス感染者が確認された2月22日以降、感染症指定医療機関(指定医療機関)として多くの患者を受け入れてきた苫小牧市立病院の松岡伸一院長(64)に現在の医療体制と今後の見通しなどを聞いた。

―ウイルス感染者の受け入れ体制は。

 当院の感染症病床は4床。1フロア48床の病床を休止し、感染症病棟とした。また、感染の疑いがある患者の入院対応で4床を確保している。3日現在、陽性で入院している患者はいないが、感染疑いで数人が入院中だ。

 苫小牧市では6人の感染が確認され、2月後半から3月初めにかけて感染症病床が一時満床になった。新たな受け入れができず、道の判断で陽性患者を室蘭や札幌の指定医療機関に移送した。

―入院中の過ごし方は。

 患者は室内の空気が外に漏れない「陰圧室」に入ってもらう。すべて個室でシャワー、トイレ、洗面所などを完備。携帯電話の持ち込みはできるが、病室からは出られない。買い物の希望があればスタッフが売店で買って届ける。

 1日3回、検温、血圧、脈拍などを調べる。体調によって回数を増やすこともある。全員が、せきや発熱などの症状が治まってから48時間後と、さらにもう一度検査し、陰性を確認して退院している。

―どんな治療が行われているのか。

 たんを出しやすくするなど、かぜと同じ対症療法が中心。人工呼吸器が必要な患者はいなかった。新型コロナウイルスに効く薬はまだ開発されていない。中国でHIV治療薬「カレトラ」に効果があるとされたことから、わらにもすがる思いで患者の同意を得て投与した。ぜんそく薬の「オルベスコ」もすべての患者に使い、全員の症状が良くなった。ただ、薬の効果なのか、自然経過で改善したのかは現時点では明らかではない。

―医療従事者の感染防止対策は。

 コロナウイルスに関わる全医療スタッフが防護服とサージカルマスク、ゴーグル、帽子、手袋を着用。気管内挿管やたん吸引などの処置がある場合は(細かな微粒子を防ぐ)N95マスクに替える。院内では(市内で感染が確認される前の)2月13日に研修を実施。感染患者と関わるすべての職員が防護服の着脱などレクチャーを受けている。

 感染症病棟で使う医療資材は一定程度の在庫があるが、一般病棟分は足りない。特にマスクは不足しており、一般職員は週2枚で対応している。感染拡大で世界的な需要増が背景にあるが、先を見据えて節約している状況だ。

―東京を中心に本州で感染者が急増している。

 非常に心配。異動期に伴い、道内で感染者が増える可能性がある。感染していた場合、来週か再来週には発症者が増えることになるが、当院だけで検査に対応するのは難しく、ひいては一般医療部門への影響も懸念される。万が一の事態に備え、苫小牧市医師会や苫小牧保健所などと体制強化を検討中。医療機能の低下を避けるためにも地元医療機関には協力をお願いしたい。

〈略歴〉まつおか・しんいち 札幌南高、北大医学部卒。札幌社会保険総合病院、苫小牧市立病院副院長などを経て2014年4月から現職。

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