「実用化可能な技術」 CCS調査、報告書まとまる 苫小牧沖

「実用化可能な技術」 CCS調査、報告書まとまる 苫小牧沖
苫小牧CCS実証試験センター(日本CCS調査提供)

 経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、日本CCS調査(JCCS)は15日、苫小牧沖で行われたCCS実証試験の報告書をまとめた。二酸化炭素(CO2)分離回収の結果やコスト試算などを初めて公表。30万トンのCO2を地中に安全に圧入し、実用化可能な技術と結論付けた。

 CCSは工場などの排ガスからCO2を分離・回収し、海底下にパイプを通じて貯留する技術。大気中へのCO2排出を効果的に抑制できる地球温暖化対策の一つとして注目されている。

 経産省がJCCSに事業を委託し、苫小牧沖で2016年4月に実証試験を開始。海底下約1000メートルの地層にCO2を圧入。19年11月に目標の30万トンに達し、モニタリング調査を継続している。報告書は機械工学、科学工学、地質学など幅広い分野の専門家の議論も踏まえ、30万トン圧入時点の成果と課題を取りまとめた。

 報告書では各種モニタリングや海洋環境調査を通して「CCSが安全かつ安心できるシステムであることを確認した」と結論付けた。18年9月には胆振東部地震が発生し、CCS実証試験センターでも震度5弱相当の揺れを観測したが「地層の圧力、温度でCO2の漏洩を示唆するデータは確認されなかった」と安全性を強調。「世界で初めて圧入地点近傍で大地震を経験し、その後も事業を継続した希少なケース」とした。

 今回の実証データを基に実用化モデルのコストも試算。苫小牧の設備規模に沿った年間20万トン、大型の設備で実用化するためのモデル同100万トンで、それぞれCO21トン当たりの圧入コストをはじき出した。

 100万トンの設備のコストは7261円となり、海外のCCSプロジェクトで価格を公表しているカナダ・アルバータ州の圧入コスト6946円とほぼ同等。回収エネルギーの低減などを踏まえれば、同6360円まで減らせる可能性があることも明記した。

 一方、CCSに特化した法令がないため、CO2の分離や回収の設備は高圧ガス保安法といった圧入や貯留設備は鉱山保安法などに準拠したことに触れ、実用化に向けて法的整備などの課題があることも指摘。社会的に受け入れられる機運を醸成する必要性なども説いた上、「今後もモニタリングを継続し、CCS実用化に向けて必要な監視事項の整理、適切な監視計画立案に向けて検討する」とした。

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