道路管理のアプリ開発 小金澤組と札幌のIT企業 DX化で作業効率向上

アプリを使ってハンドホールの点検作業を行う小金澤組の従業員

 苫小牧市ウトナイ南の建設業小金澤組(小金澤昇平社長)が、道路管理の作業効率化や省力化につながるアプリを、札幌市のIT企業と共同で開発した。作業のDX(デジタルフォーメーション)化で、これまで社員の経験に頼っていた点検を、新入社員でも同じ水準でできるようにした。

 アプリの名称は「KOCO(ここ)マップ」で、「ここですべての業務が完了できる」という意味を込めた。建設業のデジタル化を支援するIT業ネクステラス(札幌市)と共同開発し、9月からタブレット端末で運用している。地中に埋められている電線やケーブルの点検を行うマンホールの一種ハンドホールなど、道路付属物の場所をGPS(全地球測位システム)と連携して確認できる他、点検結果や撮影した写真を自動で書類にまとめて提出できる。開発費用は非公表。

 小金澤組によると、ハンドホールなどの設備点検はこれまで、紙の台帳を基に現地で位置を確認するため、冬に雪が積もっている場合はスムーズに見つからず、作業員の経験に頼ることも多かった。書類も必要な書式に情報をまとめて出すため、時間を要していたという。

 このうち同社が受託する国道235号の管理では年1回、ハンドホール内部の水のたまり具合や、内部のケーブルに破損がないかを点検する。苫小牧―厚賀間の約350カ所を2人一組で調査し、作業に約1カ月間、報告書類の作成に約1週間かかっていた。点検作業の効率化や省力化は喫緊の課題だった。

 アプリはこのハンドホール点検で活用を開始。内蔵した点検フォームの項目に従って作業を行えるようにし、タブレット機能でたまった水も計測できるようにした。アプリ導入により作業期間は2~3週間、書類作成にかかる時間は約3日間に削減できた。

 今後はアプリに搭載する情報も増やす予定で、シカとの接触事故が起きやすい場所や、道路上に穴が開きやすい地点など、統計データもアプリに反映させるという。小金澤社長は「作業がスマートになることで、道路利用する皆さんの安全性が高まれば。これまでのイメージとは違う働き方が広まり、この仕事で働きたいと思う人が増えてくれたら」と期待している。

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