金澤俊苫小牧市長には人口減少対策をはじめ、さまざまな難題が待ち受ける。中でもJR苫小牧駅前の再開発は、岩倉博文前市長時代から積み残された大きな課題だ。今年6月に岩倉前市長は旧商業施設「苫小牧駅前プラザエガオ」の土地の一部を所有する大東開発(若草町)と再開発を協力して進めることで合意し、10年続いた「エガオ問題」に一定の道筋を示したが、とんとん拍子に進む話ではない。
市は2026年度に旧商業施設やバスターミナルを解体する方針だが、解体費だけで25億円かかる見通し。昨今の物価高情勢を踏まえると、市が掲げる「苫小牧駅周辺ビジョンに基づく基本構想」の実現まで、費用がかさむことも想定され、先行きは不透明だ。10月の衆院選で道9区(胆振・日高管内)から与党の議席がなくなった今、「国からの予算配分も厳しくなるのでは」と不安視する声もある。
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財源の問題は、駅前再開発だけにとどまらない。26年3月オープン予定の複合施設「苫小牧市民文化ホール」(旭町)は10月末現在、工事の進捗(しんちょく)率は27・4%で「おおむね計画通り」だが、事業費は当初の164億4800万円から、現時点で175億6700万円まで膨れ上がった。担当者は今後の価格変動も懸念しつつ、「これから計画を立てていく施設は大変だ」とこぼす。
市総合体育館(末広町)や科学センター(旭町)など、市内には老朽化が著しい公共施設も多い。ハード整備を伴う大型事業は、巨額な投資が必要で暗雲が立ち込める。実際に移転改築を目指していた同体育館は、概算事業費は当初60億円だったが、物価高騰により1・5倍の90億円に増加。今年度は改修を含めた調査を行っているが、28年度までに計画していた建て替えは極めて難しい。
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金澤市長が掲げた公約「七つのビジョン」で、課題解決のカギになるのが「経済発展最大化」「市民総活躍」のまちづくりだ。市の住民基本台帳に基づく人口統計は今年、11月までの社会動態は転入者が転出者を237人上回っており、3年ぶりに「社会増」となる可能性が高まっている。この流れをいかに継続できるかが、人口減少対策の突破口になる。
金澤市長は「マッチングがうまくできず、民間の力を引き出せていないものがいっぱいあると思う。アイデア、提案力が自治体には求められている」と指摘する。自ら積極的にトップセールスする考えで、「可能性のある企業を誘致し、それが自然増にもつながる」と期待する。
企業を呼び込み、経済を活性化させることで、財源を確保し、第一に掲げる子育て支援をより手厚く、さらに難題の解決にもつなげる―。ふるさと納税や協定を結ぶ賛同企業、団体からの寄付などにも期待しながら、「市民総活躍、官民連携を強化していきたい」と意気込む。
10日に初登庁し、「人口20万人」を目標に掲げ、始動した金澤市政。岩倉前市政の継承だけではなく、新たな「金澤カラー」を施策に反映していけるか、手腕が注目される。
















