苫小牧市は、人工知能(AI)を用いて文章などを作成する生成AIシステムの実証事業を全庁的に行っている。将来的な導入を視野に入れ、来年3月まで業務の効果的な活用法や運用上の課題などを洗い出し。市は圧倒的な時間の短縮、業務の効率化などを期待しており、庁内の各職場で積極的な利用や情報の共有を呼び掛けている。
生成AIは、既存のデータからパターンを学習し、さまざまな文章や画像、動画などを生成できるのが特徴。米オープンAI社の「チャットGPT」、米マイクロソフト社の「コパイロット」などが有名だ。質問内容を詳細に投げ掛けることで、より精度の高い回答や情報を得られ、企画の立案やデータ分析などに有効とされている。
行政事務においても、劇的な効率化や新たな価値を創出する可能性を秘めているとして年々、注目度が高まっている。道はあいさつ文や資料の構成案の作成といったアイデア出し、簡易プログラム作成などの業務に活用。他自治体でも、2~3時間かかった書類の作成が、30分ほどで完成する事例が紹介されている。
市は11月下旬に職員向けの研修を行った上、今月4日から全庁的に一斉運用を始めた。来年3月まで無償トライアル期間の実証事業とし、複数ツールの比較や職員アンケートを実施。実証内容の報告を踏まえて本格運用を検討する他、苫小牧版のガイドラインをつくる予定だ。
市ICT推進室は「AIが学習した内容に、誤った情報が使われるケースもある。生成AIの特性やリスクを把握する必要がある」と説明しつつ、「ここまでトラブルは起きていない」と事業化に向けて前向き。DX(デジタルトランスフォーメーション)の動きが加速する中、「庁舎内でも機運を醸成していきたい。新たな文化として根付かせ、使ってもらえるよう理解を促したい」と話す。
















