JR北海道は20日、渡島管内森町(鷲ノ木道路踏切)で11月16日に発生した貨物列車の脱線事故を受けて実施した緊急点検結果と今後の対応を発表した。「海沿い」などの類似条件下で実施した39踏切(44カ所)については「異常がない」ことを確認。今後は点検実施箇所を拡大し、事故前の検査でレールの腐食が確認された124踏切(140カ所)の点検を今年度内に完了させる方針だ。
鉄道事業本部長の島村昭志常務、進藤州弘工務部長、向井明工務部副部長の3人が記者会見し、説明した。
緊急点検は(1)海沿い(2)レール経年30年以上(3)曲線(4)レール探傷車の再検査箇所―など、鷲ノ木道路踏切と類似条件下の室蘭線長万部―苫小牧間、日高線苫小牧―鵡川間など39踏切で実施。今月10日までに全て点検を終了し、異常がないことを確認した。
今後は「海沿い」などの条件を外し、「レールの腐食」のみに着目。過去4年間にレール探傷車で底部腐食を検出した箇所▽超音波探傷器による手探傷の結果、底部腐食が3ミリ以上と判定された箇所―の条件に該当する内陸部を含めた全道の124踏切で点検を行う。
島村常務は、事故の再発防止策も発表。管理面の対策としては「レール腹部の腐食に着目した設備管理手法を構築する」と強調。具体的には、超音波探傷器により超音波エコーの跳ね返り状態を確認した上で、必要により踏切敷板の撤去を伴う目視確認を実施。鷲ノ木道路踏切などを念頭に「要注意踏切」を指定し、検査の頻度を高めることを検討している。
教育面の対策としては「腐食レールに対する超音波探傷器の検査手法に関する教育体制を充実させる」と説明。レール腹部の腐食に関する教育カリキュラムを追加するほか、教育・フォロー体制も整備していく。
島村常務は「今後は運輸安全委員会の原因究明に引き続き協力するとともに、同種事故の再発防止に向けて、鉄道総合技術研究所の指導を受けながら設備管理手法の改善に取り組んでいく」と述べた。
同社は19日、点検結果報告書を北海道運輸局に提出した。
















