11月末に苫小牧市文化交流センターで開かれた市中学生主張発表大会で、苫小牧明野中2年の野村華鈴さん(14)が最優秀賞に選ばれた。言葉が滑らかに出ない吃音(きつおん)と向き合ってきた経験を紹介し「弱さを強みに変えた」と胸を張った。
3歳ごろから、話し始めの言葉を連発してしまう症状が出始めた野村さんは幼稚園に通っていた時、他の園児に給食を横取りされる嫌がらせを受け「か、か、返して」と精いっぱいの言葉で抵抗したが「ちゃんと言ってみろよ」と心ない言葉で返されたと回顧。「何度も繰り返され、幼い心にひびが入ったのを今でも思い出す」と言う。
小学校に入学してからも周囲のからかいはやまず、学校を休みがちになった小3のある日、母親からアドバイスが送られた。「ポジティブな言葉を話していれば必ず自分に返ってくる。上手に話す必要はないよ。心にある大切な思いを伝えることが大事」という言葉をきっかけにネガティブだった心境が変化。ポジティブな言動を意識するようになり、人間関係に恵まれていったという。
なるべく発音しやすい言葉に置き換えて会話するようにしており「伝わったのかな」と心配になることもあるが、吃音を隠そうとは思ってない。「弱さでもあるが強さ、個性でもある。周囲を気にしてばかりだとおしゃべりや歌う事が大好きな自分らしさが消えてしまう」と笑顔を見せる。歌うことが好きで、歌唱の際は吃音になりにくいという。今年の学校祭では友人と2人で歌手Ado(アド)の「新時代」を歌い上げ、聞く人の心を揺さぶった。「今でも信じられないが、これが本来の自分の姿だと実感している」とほほ笑む。
大会には国語の教科担任の勧めで参加。テーマは「弱さから生まれる強さ」。15人が出場し、教育委員ら5人の審査で最優秀賞に輝いた。「5分間の制限時間があり多少の不安はあったが、内容重視で与えられた機会を全力で楽しもうと思った」と語る。
市によると、吃音を抱える生徒が最優秀賞を獲得したのは初めて。「同じ境遇で悩む人のため、周囲の理解を広げるためにも出場してよかった。弱さを強さに変え、楽しい日々を過ごせる人が増えたら」と述べた。
野村さんは、来年度開かれる胆振大会に出場予定だ。
















