苫小牧市社会福祉協議会は今冬も、エレベーターのない市営住宅などに暮らす高齢者に灯油入りポリタンクを運ぶボランティア事業を展開している。高齢者が厳しい冬も安心して過ごせるように―と市内の高校など6団体が協力。体力自慢の高校生や社員らが来年4月まで活動に励む。
駐車場に乗り付けた佐藤燃料(勇払)のタンクローリーから注文分をポリタンクに給油し、ボランティアが階段を使って高齢者宅に運ぶ事業。給油前に空のポリタンクを受け取る作業もあり、1世帯につき最低2往復する必要がある。
今冬の活動は10月にスタート。活動場所は昨冬から1カ所増え、住吉町、東開町、山手町、弥生町、勇払の5カ所で手助けを必要とする利用者は昨冬比で15人増の46人を数える。
苫小牧東高硬式野球部・アイスホッケー部、苫小牧中央高と苫小牧西高の硬式野球部、苫東石油備蓄苫小牧事業所、トヨタ自動車北海道労働組合、電気工事西川組が協力。月に1、2回活動している。
このうち電気工事西川組(矢代町)は、今冬から協力。弥生町の市営住宅を担当し、3回目の活動となった今月17日は佐藤嘉彦社長を含む6人が参加した。
社員からポリタンクを受け取った女性(76)は「足が悪くてつえを使っているので、以前は小分けにして引きずって運んでいた。お手伝いいただき、涙が出るくらいありがたい」と感謝した。
両手にポリタンクを持ち5階まで運んだ佐藤社長は「最初は重く感じなかったが、階段を上るうちに腕がもげるかと思うぐらいつらく感じた。高齢者には本当に大変な作業だと思う。皆さんの笑顔を見られると、自分たちもうれしい」と述べた。
灯油運搬ボランティア事業は地域の民生委員児童委員の声をきっかけに2022年11月、住吉町でスタート。活動内容を限定し、支援者を募る市社協の「だけボラ」事業の一環で、苫小牧東高の協力を得て始まった。ニーズ調査に沿って、協力の輪を広げながら活動場所を増やしてきた。
市社協の千寺丸洋総合支援室長は「ニーズを調査中の地域も含めると、エレベーターのない市営住宅はほぼ網羅した」と説明。現在は高齢者向けの事業だが若い世代の中にも病気や産前産後などさまざまな事情で、灯油の運搬に苦労している人がいるとみて、対象拡大も構想中といい「市民の困り事に目を向け、支え合いの仕組みを充実させたい」と話す。
















