苫小牧港開発(関根久修社長)は、管理運営する苫小牧西港フェリーターミナルの1号岸壁ボーディングブリッジ(通路とフェリーを結ぶ搭乗橋、以下PBB)を約50年ぶりに更新した。バリアフリー化を図るため、国内港湾施設のPBBでは初めて、構造内にエレベーターを併設したのが特徴。同社は「お客さまにより安全、安心、快適に利用してもらえれば」とアピールしている。
新PBBは、鉄製で最大高さ13・5メートル、最大幅7メートル、全長23・4メートル。通路部分の幅は2・3メートルで、従来設備の1メートルと比べて2倍以上となった。通路は、浮き沈みする船舶の乗降口に合わせ、上下4メートルほどの範囲で階段状にしたり、平たんにしたりと電動で調節できる。さらに構造内としては国内でも初めてエレベーターを設置。苫港開発によると、港湾施設PBBのバリアフリー化は従来、エスカレーターやエレベーターの外付けで対応していた。
従来の1号岸壁PBBは、西港フェリーターミナルがオープンした1975年から使用。老朽化が進んでいたのに加え、バリアフリー構造ではないため、車いすなどの利用者が乗降するには、従業員らの介助が必要だった。このため同社は2023年度から2カ年かけて、川崎重工業に委託して新PBBを製造した。総事業費は非公表。
昨年12月23日に使用を開始し、苫港開発の渕脇正広ターミナル事業部副部長は「従来のPBBは急な階段だったが、新PBBは船体に合わせて床の高さも変わる。大きな荷物を抱えた方なども、エレベーターで快適に移動できる」と、快適になった通路やエレベーター使用の利点を説明する。旧PBBは1月中にも解体する予定だ。
1号岸壁を使用する商船三井さんふらわあ(東京)は21日から、大洗航路で道内初のLNG(液化天然ガス)燃料フェリー「さんふらわあ かむい」(1万5600トン)を就航する。同船の就航式典が15日に予定される中、新PBBの竣工(しゅんこう)式も14日に計画しており、苫港開発の深井勝美常務取締役は「LNGフェリー就航に合わせられて良かった。引き続き設備を更新し、バリアフリー化を進めたい」と意気込む。
バリアフリー未対応だった3号岸壁PBBも、1985年の使用開始と老朽化しているため、来年6月にもバリアフリー対応設備に更新する方針。2号岸壁PBBは2009年稼働開始で既にバリアフリー構造となっており、来夏にも西港PBBのバリアフリー化が完了する見通しだ。



















