4 日本軽金属苫小牧製造所 栗田(くりた) 勤(つとむ)所長 半導体関連の仕事獲得を DXや機械の導入で省人化

4 日本軽金属苫小牧製造所 栗田(くりた) 勤(つとむ)所長 
半導体関連の仕事獲得を DXや機械の導入で省人化
日本軽金属苫小牧製造所 栗田勤所長

  ―2024年を振り返って。

 「グループ全体としては、部門によって強弱はあるが、おおむね悪くはなかった。良かった、という表現ではない。例えば、自動車の半導体(供給不足)も持ち直してきたが、先行き不透明という部分がある」

 「(主にアルミニウム製品の設計、見積もり、加工、組み立てなどの一貫工場を構え、住宅のサッシや公共物件などを展開する)日軽北海道は業績的にはよかった。国内で近場の工事が多く、大型物件はあまりないが、仕事はあって堅調。利益的にも上向いている」

 ―25年の展望は。

 「トランプ政権の発足やウクライナ情勢、高止まりした原材料価格、円安など、不透明や不安な材料が多い。(価格高騰は)価格転嫁も100%できない。コストアップはお客さまにも丁寧に説明し、価格是正を認めていただくしかないが、『どこまでできるかな』というところ。コストダウンは限界がきている」

 ―あらゆる業界で人手不足も深刻化している。

 「引き続き採用活動に力を入れ、効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)、システムや機械の導入で省人化を図る。(会社ごとに)ばらばらなシステムを使っているので、グループでプラットフォームをつくり、統一しようという動きもある。(事務手続きなど)紙を使うことが多かった職場も、見える化するシステムを入れて省力化しつつある。無駄な作業、価値を生まない作業を洗い出したい」

 「北海道の冬は閑散期だが、(本州など)公共事業を手がける地域は、年度末が逆に繁忙期。グループ全体で人の移動ができないか、考えていきたい。ただ、『本州の工場に3カ月行って』と言うには、環境面や福利厚生面できちんとしていかないとならない。今あるうちの『人財』の中でやりくりしないと、人不足も解決していかない」

 ―千歳市で次世代半導体製造ラピダス(千歳市)が工場を建設中で、4月に試作ラインの稼働を始める予定。影響は。

 「直接、間接いろいろある。パネル(苫小牧製造所にある日軽パネルシステム)でクリーンルームを造っており、(半導体関連で)積極的に仕事を獲得していきたい。物流倉庫も持っており、周辺の企業から『製造所に荷物を置かせてくれないか』などの話が増えた。製造所内は100%近く活用している」

 ―日軽北海道は貸し切りバス事業も展開している。

 「(23年5月に)コロナが5類に移行し、23年は利用が戻り切らなかったが、24年は完全に戻った。運転手不足で断った部分もある。学校の修学旅行は時期も重なるため、どこのバス会社も困っている。学校同士で調整してもらえないだろうか」

 ―昨年は道内でも初めて聴覚障害者を運転手として採用した。

 「反響があって驚いた。弊社は通勤バスがメイン。固定のルートや利用客で、お客さまの理解があるからできる。(運転手と)お客さまが意思疎通できるようなボードを作り、お互いに協力し合いながら進めたい」

 ―グループ全体で障害者理解に精力的。日本軽金属とスポンサー契約を結び、パリ・パラリンピックの車いすラグビーで初の金メダルを獲得した池崎大輔選手とも縁が深い。

 「昨年は応援にも力が入った。パラスポーツの普及や『子どもに夢を与えたい』という思いは、われわれと池崎選手と一致している。ぱっと盛り上がって終わりではなく、地に足を着けた協力や活動を今後も長く続けていきたい」

 ―苫小牧工業高等専門学校との共同開発も盛んだ。

 「車いすの改良や(パラスポーツの)シットスキーの研究開発をしている。昨年は札幌市の(地下歩行空間)チカホで市民に乗り心地などを体験してもらった。共同開発を通して、学生がものづくりに興味をもっていただけたら。商品開発への道のりはハードルが高いが、いろんな技術などを横展開できれば」

メモ 苫小牧製造所は、アルミニウムの総合メーカー、日本軽金属グループ6社で構成する複合組織で、従業員は500人規模。栗田所長は日軽北海道の社長も兼務している。

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