苫小牧市のホッキ貝漁獲量が24年連続日本一を達成した。市がまとめた2023年の主要産地別統計に基づく結果で、23年の苫小牧産ホッキ貝は前年比8・6%増の840トンで、2位の根室管内別海町とは300トン以上の大差。資源管理を徹底しながらホッキ漁を展開する苫小牧漁業協同組合(伊藤信孝組合長)は「持続可能な漁を続けてきた結果。今後もホッキを安定して皆さまに届けたい」と気持ちを新たにしている。
市は毎年この時期、苫小牧産ホッキのブランド力をアピールしようと、ホッキの産地別漁獲量を独自に調査し、市町村別ランキングにして発表している。道が毎年まとめる水産統計に、青森、福島両県の主要産地の統計を確認しており、苫小牧のホッキは00年から首位を堅守している。10日に発表した。
23年の苫小牧産ホッキは、2年ぶりに前年実績を上回り、800トン台の大台に乗った。1キロ当たりの卸売平均単価(税込み)は前年比16円高の522円。3年連続の増加で、この3年間で113円も値上がり。漁獲高は4億3821万円で、17年以来6年ぶりに4億円台を達成した。
また、22年の夏漁でいぶり中央漁協が水揚げしたホッキ貝からまひ性貝毒が検出され、苫小牧を含む太平洋西部海域で約1カ月間、ホッキ漁を自主規制した経験を踏まえ、23年から苫小牧単独で週1回の検査体制を構築。23年は夏漁開始前に苫小牧から貝毒が検出され、漁期10日間の自主規制を行ったが、ホッキ貝の安全・安心を保証する取り組みとして定着した。
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そもそも苫小牧産ホッキの水揚げ量が日本一を続けられる理由は、苫小牧漁協による資源管理型漁業のたまもの。かつては乱獲で資源を枯渇させた教訓から、独自の基準でホッキ漁を操業し、前浜資源を順調に回復させた。
5、6月の産卵期を禁漁とした上、漁期を夏(7~11月)と冬(12~翌年4月)に分け、漁業者1人当たりの水揚げ上限(通称ノルマ)を設定。道はホッキの漁獲を殻長7・5センチ以上に規定しているが、苫小牧はさらに大きい9センチ以上に定める。大ぶりのホッキ貝は市場価値も高く、苫小牧漁協も地域ブランド「苫小牧産ほっき貝」として登録するなど、ブランド力の向上に努めてきた。
苫小牧漁協の赤澤一貴総務部長は「長年にわたり資源管理を続けてきた結果」と強調し、金額の増加傾向に「コロナ禍で下落して苦戦した時もあったが、仲買人をはじめ苫小牧産ホッキを積極的に買って、食べていただいた皆さまのおかげ。一丸となってブランド力を高められた」と感謝する。今季もホッキを安定供給し、例年以上の高値が続いており、「苫小牧産ホッキはまだ伸び代がある。今後も認知してもらい、可能性を広げる取り組みを進めたい」と意気込む。





















