20年度内に策定へ 国土強靱化地域計画 災害への備え戦略的に 白老

20年度内に策定へ 国土強靱化地域計画  災害への備え戦略的に 白老
津波や大雨被害などのリスクを抱える白老町。強靱化計画の策定で災害に強いまちへ

 白老町は、災害対応の「国土強靱(きょうじん)化地域計画」を2020年度内に策定する。想定される大規模自然災害から住民の命を守り、速やかな復旧、復興につなげる防災、減災の施策を総合的に取りまとめる。町は計画の策定や推進に関わる計画推進本部(本部長・戸田安彦町長)を設置し、施策の展開で安心安全のまちを目指す。

 地域計画は、東日本大震災の発生を踏まえて国が13年12月に施行した国土強靱化基本法に基づき、市町村が策定する。計画を作ると、災害対策のインフラ整備など関連事業に対し、国の交付金や補助金を活用できる。道内では179市町村のうち、6月1日現在で札幌市や函館市、釧路市など69市町村が地域計画を持つ。胆振管内では有珠山の噴火被害リスクを抱える伊達市、豊浦町、洞爺湖町、壮瞥町が作っている。

 白老町は、計画作りに取り組む上で5月に計画推進本部を設置し、災害対策の課題の洗い出しを全庁的に行っている。作業は地域特性を踏まえて▽地域を強靱化するための目標設定▽リスクシナリオ(最悪の事態)と施策分野の設定▽地域の脆弱(ぜいじゃく)性の分析や評価▽リスク対策の検討▽重点施策設定や施策の優先順位付け―の手順で進め、計画期間は今年度から4年間程度を想定。第6次総合計画(20~27年度)との整合性を図った内容とする。

 町は、推進本部や町防災会議、町議会の意見を反映させて素案を取りまとめ、11月にパブリックコメント(意見公募)を実施、12月には計画を決定する方針だ。

 白老は海岸沿いに広がる平たんな地形から津波や高潮の被害や、背後にそびえる樽前山の噴火リスクを抱えているほか、これまでに大雨による甚大な災害も起きている。一方、町外への避難や町外からの救急支援に利用する基幹交通路が少なかったり、避難所や災害対応に利用する公共施設が耐震化されていなかったりと、課題は少なくない。町は計画作りに当たり、人命保護や救助救急活動の迅速化、行政機能とライフラインの確保、経済活動の機能維持、2次災害の抑制、円滑な復旧・復興をポイントに施策を練り上げ、災害に備えた事業を戦略的に展開していく。

 地球温暖化に伴う気候変動を背景に近年、大型台風や豪雨などの異常気象が頻発し、地震災害も相次いで発生している。町危機管理室は「どのような自然災害が起きても、まちが機能不全に陥らず、速やかに復旧や復興を果たすことが重要だ。計画の実行で災害に強いまちづくりに取り組みたい」としている。

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