厚真町の2中学校がいじめ撲滅の取り組みを活発化させている。両校とも例年この時期にいじめをテーマにした全校集会やワークショップを開いているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえて中止としていることから、それぞれ生徒会が中心となって独自に対策や運動を繰り広げている。
厚真中(阿部隆之校長)は、世界各地で行われているいじめ反対運動「ピンクシャツデー」にちなんで、「APS(Atsuma Pink Shirt)プロジェクト」と題した取り組みを7月31日から本格化。「まずは厚真から機運を高めていきたい」と学校のみならず、地域も巻き込みながら、町全体でいじめ撲滅の実現に向けた活動に乗り出した。
ピンクシャツ型のカードに全校生徒や教職員、地域住民にメッセージを書き込んでもらい、集まった約140人分を洗濯物を干すようにつなげて町役場や青少年センター、スポーツ施設、銀行、郵便局など7カ所のロビーに展示。8月末まで、いじめ防止を訴えていく。
生徒会長の中島藍音さん(15)=3年=は「代々、生徒会の先輩方が大きなテーマにしているいじめを引き継いでいかなければと思った」と経緯を説明し、取り組みを通じて「いじめは絶対に許さないという意識を見てくれた人が感じてくれたら。参加していない地域の方にも見てもらいたい」と希望を語る。
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厚南中(石田憲一校長)では、集会に代わる措置として「いじめ撲滅企画」を考案。全校生徒に学校生活やインターネットなどそれぞれの場面に応じて起こる傾向や対策などを詳細に記したアンケート調査を行ったほか、同校スクールカウンセラーの蝦名美穂さんに講師を依頼し、学年ごとに授業を行うなど改めて問題解決への意識を新たにした。
さらに生徒一人ひとりにいじめに関する思いを画用紙に書いてもらい、校内で掲示するなど全校的に啓発していく。副会長の小向凌さん(13)=2年=は、今回の結果と講話を踏まえて「先生に言われてからではなく、何かあった時に、お互いに意見をぶつけ合える関係が改めて大事だと感じた。関係を築くことで自分を見直す機会になれば」と話していた。




















