自然や文化など地域が育んだ資源を活用した文化芸術活動「ウイマム文化芸術プロジェクト」(文化庁、実行委員会主催)が今年も白老町を舞台に展開される。北海道土産の代名詞とされた「木彫り熊」に焦点を当てた展覧会を今月から仙台藩白老元陣屋資料館で開催するほか、白老の大町商店街を会場にした「アート縁日」、音楽アーティストによる創作活動といった4本のプログラムを繰り広げる。
プロジェクトは地元住民との協働で進め、文化芸術活動を通じて白老町の活性化や魅力の創出を図る取り組み。文化庁の「戦略的芸術文化創造推進事業」を受託した実行委員会が2018年度、19年度に続き企画した。
今年のプログラムは「白老、北海道の木彫り熊を巡る考察展」「白老大町商店街おおまちアート縁日(仮称)」「アーティスト・イン・レジデンスin白老」「アイヌ語地名から探る土地の記憶・アースダイブ」の4本。
木彫り熊を巡る考察展は、町教育委員会が共催して今月22日から9月22日まで仙台藩白老元陣屋資料館で開催。木彫り熊をテーマした展覧会は昨年に続く企画だが、今回は白老のみならず、全道的な視点から文化的、歴史的価値を考察する内容とし、約200点の資料を展示する。ルーツとされる渡島管内八雲町と旭川市をはじめ、昭和期に木彫り熊の一大生産地となった地元白老の作品を紹介。また、北海道博物館や苫小牧市美術博物館からクマの意匠付き土器などを借り受け、縄文期から続くヒグマと人の生活文化の関係性に光を当てる。
アート縁日は9月21、22日に大町商店街で開催。飲食や雑貨販売の露店を並べ、音楽などアートを取り入れた縁日を催し、商店街の新しい風景を創出する。アイヌ民族伝統楽器ムックリ制作体験のワークショップなども企画する。
アーティスト・イン・レジデンスは、国内外のアーティストが一定期間、白老に滞在し、住民と交流しながら地域資源活用の作品制作に当たる活動。今回は世界的に活躍する音楽アーティスト青柳拓次さんが9月4~19日、大町の宿泊施設haku(ハク)ホステルを拠点に取り組む。
アースダイブは、アイヌ語地名やアイヌ民族の神話が残る場を訪ね、古地図を手に歩きながらその土地の歴史や自然、人の営みを知るフィールドワーク。北海道大学大学院文学研究院の谷本晃久教授(北海道地域史)を講師に10月ごろ、虎杖浜のアヨロ地区などで行う。
プロジェクト名のウイマムは「交易」を意味するアイヌ語。町内外の多様な人々が交流するという活動の形態から名付けた。3年目を迎えたプロジェクトのディレクター木野哲也さんは「地域の人たちと協働し、文化芸術という手法で白老町を発信していきたい」としている。プロジェクトに関する情報はインターネットのホームページで確認できる。

















