好きな歌を気分良く歌い、ストレス発散や仲間との親睦の場となるカラオケボックス。苫小牧市内の各店も新型コロナウイルスの流行で打撃を受け、緊急事態宣言下は一時休業に追い込まれた。他都市ではスナックなど「昼カラオケ」でクラスター(感染者集団)が発生し、営業再開後も客足は伸び悩む。それぞれ感染防止対策を徹底しているが、先行き不透明な状況が長期化している。
「感染を怖がる心理は分かる。でも、カラオケに悪いイメージが付いたことがつらい」。カラオケ歌屋苫小牧店(元町)の彌左(やさ)拓摩統括店長(29)はそう語り、肩を落とした。2月後半からコロナ感染の拡大に伴って団体客の利用が減り、売り上げは前年に比べて半減した。
4月中旬から5月まで店は休業。6月の再開後、店舗でカラオケを楽しむ人たちの姿は少しずつ戻ったが、数人のグループが多く、平日の昼間は空室が目立つ。コロナ対策で使用できる部屋、席数も制限した。マイクやテーブルを小まめに消毒し、希望者にマイクカバーを配るなど対策を徹底する。
カラオケサウンドワン(錦町)も2月後半から客足の減少が続いている。毎年3、4両月の歓送迎会シーズンは10~15人のグループでの来店が目立つが、今年は10人規模のグループ利用は1度のみ。感染予防に力を入れるが、コロナ禍で高齢者の利用も減った。
4月後半から5月まで休業し、6月の営業再開後も客の戻りは鈍い。7月の来店客は前年の4割減となった。同店はコロナ禍に危機感を強め、ネットカフェのような異業種参入も検討する。森岡萌花店長(29)は「毎年8月は多くの人が利用してきたが、今年はどうなるか分からない」と不安を募らせる。
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感染拡大防止の観点から密閉、密集、密接の「3密」回避が求められる中、カラオケはたびたびやり玉に挙がってきた。道の新型コロナウイルス感染症対策本部によると、カラオケボックスを利用した道内の感染者で感染経路が不明な事例もある。札幌市と小樽市では「昼カラオケ」のクラスターが発生。事業者に新北海道スタイルの順守などを求める。
苫小牧市は2日、企業や団体で感染事例が相次いだことを受け、岩倉博文市長が市民に緊急メッセージを出し、カラオケなどで大声を出す行動の自粛を求めた。市健康支援課は「場所に関係なく、体調が悪い時は人の集まる所に行かないなど、基本的な感染防止対策を徹底してほしい」と注意を呼び掛ける。
一方、カラオケ店側は業界団体のガイドラインを守るなど対策を強化し、利用客が少しでも安心して歌える環境づくりを心掛ける。彌左統括店長は「部屋の換気や人数制限など社内で定めた対策に取り組み、来店客に理解してもらっている。間隔を空けて歌う広さはあるので、マイナスなイメージを払拭(ふっしょく)したい」と強調。歌うことを楽しむ文化を絶やさないよう取り組みを続ける。
(室谷実)
















